五十肩の治療と予防:五十肩~症状と原因・予防と治療法~

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五十肩の治療と予防

五十肩治療の2本柱

 五十肩は激しい痛みを伴いますから、ほとんどの場合、治療は薬で炎症と痛みを抑えることから始まり、次に、肩関節を動かす体操を続けるという2つの柱で行われます。通院は痛みがひどいうちは週1~2回、その後は1ヶ月に1回ぐらいになるでしょう。
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痛みを抑える消炎鎮痛薬

 薬は炎症を抑え、痛みを和らげる「非ステロイド性消炎鎮痛薬」や「ステロイド薬(副腎皮質ステロイドホルモン)」を用います。

 消炎鎮痛薬には非常にたくさんの種類があり、主に痛みの強さや患者の全身状態などを把握したうえで適切な薬剤を選択します。

 消炎鎮痛薬で最も多い副作用は吐き気や胃痛などの胃腸障害です。もちろん、長期投与すれば肝臓や腎臓の障害が出てくる場合もありますが、五十肩では短期の使用がほとんどのため、胃の粘膜を保護するための薬(胃炎治療薬、消化性潰瘍治療薬)を同時に処方することで副作用に対処しています。

 ただ、副作用についてはあまり神経質になる必要はありません。夜も眠れないほど痛みがひどいときに薬を用いれば、ずっと楽に寝られるわけですから、賢く薬を使ってください。

 薬の形状には、内服薬、座薬、外用薬があります。これらは痛みの強さによって使い分け、一番痛みの激しいときんは座薬、そうでもないときは内服薬や外用薬を処方します。
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消炎鎮痛薬の種類

 坐薬は投与時間が食事と関係しないため、就寝前や起床後すぐにもしようできるのが特徴です。そのため、五十肩では痛みの激しい時期に朝と寝る前の1日2回用います。

 坐薬は内服薬よりも胃腸障害の発生頻度は少ないのですが、血液の中に薬剤が吸収されて、胃の粘膜の中に入っていきますから、やはり胃を荒らす可能性があります。そこで、胃腸障害の生じやすい患者には医薬を併用することで副作用を予防します。

 五十肩になって生まれて初めて坐薬を使ったという患者が大勢います。薬には使用法の説明がついていますが、入れ方が浅いと、肛門括約筋が坐薬をスポンと押し返してしまうので、肛門の十分奥まで入れてください。温かい直腸の環境で溶けて、30分くらいで吸収され、陰も形もなくなります。

内服薬  空腹時に内服すると胃腸障害が多いため、1日3回食後に内服します。

外用薬  一般に貼付剤(ちょうふざい)を用います。貼付剤にはパップ剤(湿布薬)とプラスター剤(粘着テープ薬)があります。プラスター剤のほうが薄くてはがれにくいので、患者に好まれるようです。

 1日1回または2回患部に貼付します。現在の外用薬は単に冷やすための湿布ではなく、消炎鎮痛効果のある薬剤が入っているので、1日4~5回も貼りかえることは適切ではありません。

 肩にうまく貼れない人には軟膏や液剤を出すこともあります。

注射  夜も眠れない、日常生活が本当につらいという時期に、局所麻酔薬にステロイド薬を少し混ぜた「混合注射」を患部に打つと非常に楽になります。

 ただし、ステロイドは使いすぎると、肩関節の組織の性質を弱めて腱が切れやすくなったりする副作用があるので、1回の注射につき10mg(プレトニゾロンというステロイド薬で換算した場合)、合計50mgを目安に、週に1回ずつ合計4~5回が限度です。

 注射してしばらくは局所麻酔薬のために痛みがとれるのですが、2~3時間たつと少し痛みがぶり返します。また、中には効果の無い人もいます。
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肩の動きを回復させる体操

 五十肩では炎症がおさまる過程で癒着(繊維化)が起こり、腕が十分に動かせなくなります。できるだけ早いうちから肩を動かせば、癒着しようとする力をさまたげ、癒着を剥がし、運動制限を軽くすませることができます。運動制限がおさまるまで半年~1年間、辛抱強くたいそうを続けましょう。

 当サイトでも五十肩体操を紹介していますが、医療機関で指導を受けることもできますから、相談するのもよいでしょう。また、五十肩が治ってからも体操を続けていると、もう片方の肩の予防にもなります。 体操療法の前に  体操療法を行う前には、ぜひ肩を温めてください。というのも、肩の血流が不十分なまま運動を始めると、逆に筋肉や腱を傷めてしまい、逆効果になりかねないからです。

 入浴後などの体が温まっているときに体操をするとよいでしょう。市販のホットパックやカイロで10~15分間温めたあとでもかまいません。

運動の程度  無理に動かすと、いっそう炎症がひどくなりますから、運動は痛みがやわらいでいるときに行いましょう。

 動かす程度は「少し痛みを感じるくらい」と心がけてください。痛みをまったく感じない運動はあまり効果は望めませんが、だからといって無理をするとかえって悪化したり、腱に弾力がなくなっているために断裂したりしますから、少し痛い程度でとどめ、同じ運動を回数繰り返して行います。「体操には過保護も無理も禁物」と覚えておいてください。
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五十肩の治療法

 基本的に、病院ではどの患者にも「自分で体操をするように」と指導していますが、特に運動制限が強くて、関節の動きが思うように回復しない場合や体操がうまくできない場合など、家で行う運動療法に限界を感じたら、理学療法士による本格的なリハビリテーションを受けることもできます。

神経ブロック療法  痛みを伝える神経に局所麻酔薬を注射し、その神経が支配する領域をマヒさせて、痛みをブロックする方法です。関節の痛みがマヒしている間に腕を動かします。五十肩に効果的なのは、肩甲上神経という部分の注射です。以前は整形外科医も行いましたが、うまく神経に当てるのがむずかしいため、今は麻酔科の医師(ペインクリニック)が担当することが多くなりました。

 個人差はありますが、効き目は1時間30分から2時間くらい。うそのように痛みが取れます。もちろん、麻酔が切れると、当然痛みはぶり返すのですが、激烈な痛みで、いてもたってもいられないときには、まさに救いの神です。

 普通は5~6回行われます。入院の必要な治療ではないので、しばらく休憩したあと、その日に帰宅できます。

 鍼治療と似ていますが、西洋医学と東洋医学では理論がまったく違うので、どちらがよいかという比較はできません。しかし、正直なところ、痛みがとれるのであれば、どちらでもよいのではないかと思われます。

外科的治療  重症のケースで、治療期間を短縮したい場合は手術をすることもあります。ほとんどが痛みの強い急性期から慢性期の治療として行われます。

切開手術  切開手術はめったに行いませんが、患者の希望があれば切開する場合があります。

 例えば、「肩峰下除圧術」という手術では、5㎝ほど切開し、骨棘と肩峰の前下方部分の骨を切除し、腱板のスペースを広げるのが目的です。圧迫が除去されるので痛みが早く治ります。手術時間は1時間~1時間30分ぐらいで入院は1週間程度です。

 しかし、五十肩は自然に治る病気ですから、なるばくなら切らないほうがよいというの私の考えです。1日も早い痛みの軽減をとるか、体に負担をかけないか、よく考えた上での選択をお勧めします。
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関節鏡視下受動術

目的  内視鏡(この場合は関節鏡)を使って、関節の中の癒着を剥がし、関節の動きをよくする手術を試みるのも1つの選択肢です。

 全身麻酔をかけたうえで、肩の前と後それぞれに7mm程度の孔を開け、そこから関節鏡や手術器具を挿入します。骨を削った場合は横からの進入路も必要になります。医師は関節鏡によって映し出された肩の内部をテレビモニターで確認しながら手術を行います。

 手術の目的はつぎのようなものです。

 ①生理食塩水を入れて関節を膨らませ、癒着を剥がすこと。 関節は意外と容積が大きく、通常は50ccぐらいですが、五十肩で関節包が収縮してしまうと15~20ccに縮小してしまいます。そこで、作業をしやすくするために生理食塩水を大量に入れて関節を膨らませてから、注意深く癒着した部分を剥がしていきます。

 ②固くつっぱった靭帯(線維性の部分)があれば切り離す

 ③腱板の滑らかな動きをさまたげるような骨の突起(例えば肩峰の骨棘)があれば削り取る

 ④全身麻酔がさめる前にマニピュレーション(徒手矯正)を行う。 麻酔がきいている患者が痛みを感じないうちに腕を動かし、肩関節の運動制限を軽くしますこれが受動術です。

 ①~④のどれをおこなうかによって時間は異なりますが、通常は1時間ほどで終わります。関節鏡を入れた孔からの感染などの心配もあるので、1晩か2晩、入院するのが一般的です。

費用  関節鏡視下受動術は五十肩を治すことが目的ではなく、リハビリテーションをしやすくするためのものです。また、全身麻酔が必要なので、重度の心臓疾患や糖尿病、腎臓、肝臓に機能障害がある場合はできません。そう頻繁に行われるものではなく、患者100人のうち2~3人ぐらいにしか実施されない手術です。

 費用は入院3日として概算して手術費と入院費で約35万円、保険による自己負担は2~3割とすると約7~10万円ぐらいになります。
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五十肩の予防

 やっと治ってホッとしたのもつかのま、もう片方の肩が五十肩になっというケースはよくあります。残念ながら、五十肩の確実な予防法は見つかっていません。

 一般的に考えると肉体を酷使している職業の人に多く発症しそうですが、現実はその逆で、教職者や事務職など肉体労働をしない人に多い傾向があります。これは欧米でも同じです。ですから、肩関節はコンスタントに適度に使っていると、長く正常に機能するのではないかと考えられます。

 科学的なデータの裏付けはないのですが、関節を最大限に動かす体操(関節の稼動域訓練)を毎日行った方が予防につながりそうです。

 よく建築現場などで仕事前にラジオ体操をしていますが、これはまさに五十肩の予防をしているではないかといえます。建築現場では腕を高く上げる作業が多いので、五十肩になる可能性が高いのに、実際になる人の数はデスクワーカーより少ないのです。やはり毎日ラジオ体操をするのがよい結果になっているのではないでしょうか。
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