五十肩の検査と診断結果について

五十肩の検査と診断結果について

この記事の大まかな内容

  • 五十肩は「肩関節周囲炎」の一つ。
  • 五十肩の検査方法は、「運動機能検査」「画像検査(レントゲン)・MRI」「局所麻酔薬の注射」
  • 五十肩は紛らわしい病気。他の病気とも混同されやすい。

五十肩は「肩関節周囲炎」の一つ

わたしは三十代ですが、五十肩という名称は50代以上の中年の方がなりやすいということから一般的にそう呼ばれているだけであり、正式な病名は肩関節周囲炎と言われました。
(くりきんとんさん / 女性 / 31歳)

五十肩に限らず、老化とともに、肩関節の周辺にはさまざまな障害が生じます。

そのために起こる病気を総称して「肩関節周囲炎」と呼んでいます。

ですから、五十肩イコール肩関節周囲炎ではありません。

医学的に肩関節周囲炎はもっと広い概念を指します。

しかし医師は1つ1つの病名を詳しくは言わずに、単に「肩関節周囲炎」といいますし、五十肩が疑われる場合も運動制限が起こっているかどうか判明しないうちは「肩関節周囲炎」と呼んでおくことが多いのです。

表現上誤りではありませんが非常にあいまいな言葉で、患者さんにとってははっきりしたイメージがつかめない病名かもしれません。

ただ、肩の痛みの原因を五十肩かどうか定義するには少し経過を見る必要があります。

したがって、とりあえず「肩関節周囲炎」と表現せざるを得ないのです。

保険の請求などでもこの病名がよく使われています。

五十肩の検査

運動機能検査

整形外科では、症状を説明した後触診され、腕を動かす検査(前・後ろ・左右横・回転)をしてからレントゲンを撮った。
(やべっちさん / 女性 / 55歳)

「五十肩」だと診断したら、肩関節の動きを調べるために、腕を動かす検査をします。

計測は「前(屈曲)・横(外転)・後(伸展)・外(外施)・内(内施)」の5方向で行い、その角度をきちんと記録します。

この記録は診察の基本になる重要なものです

画像検査

まずは問診があり、今までの経緯や鍼灸院で治療を受けていることも説明しました。その後、肩のレントゲン撮影と超音波の画像診断、肩の動きを見てもらい、かなり重度の五十肩と診断されました。
(さくらさん / 男性 / 48歳)

エックス線写真は必ず撮ります。

五十肩による肩の異常はエックス線写真には写りませんから、五十肩以外の病気ではないかどうかを調べて、鑑別診断に役立てるのが目的です。

五十肩なのか別のものか分からず気になったので先生にお願いしてMRI撮影してもらいましたが特に異常なしでした。
(ぽんきちさん / 男性 / 45歳)

また、最近はMRI(磁気共鳴画像)検査も行われていますし、超音波で検査することもあります。

ただし、これらの画像検査は腱板断裂などが疑われる場合に行われる補助的な診断法です。

局所麻酔薬の注射

治療の中でよく使われる局所麻酔薬を、医師によっては診断のために用いることがあります。

炎症を起こしている場所の見当をつけて注射し、劇的に痛みがとれたら、その場所で炎症を起こしていると考えられます。

五十肩はいろいろな場所が引き金になるので、厳密に場所を特定するためには有効な方法です。

五十肩の鑑別診断。五十肩は他の病気と間違えやすい。

医師による検査結果をもとに「鑑別診断」を行います。

五十肩には、50歳代によく起こる紛らわしい病気が多いからなのです。

特に、部位と症状が近いグループはきちんと調べて除外しておかないと五十肩という診断にはたどりつきません。

肩の炎症だけで癒着が起きない病気でも、診断法や治療法は五十肩とほぼ変わらないので、五十肩と誤解する患者さんもいます。

「五十肩になったけれど、1ヶ月ですっかり治った」というような場合はだいたいよく似た病気と誤解しています。

肩峰下滑液包炎(けんぽうかつえきほうえん)

肩峰下滑液包が炎症を起こす病気です。

五十肩の前段階とも考えられますが、原則として腕がひと通りに動くので、運動制限がある五十肩とは区別されます。

腱板炎(けんばんえん)

腱板が炎症を起こす病気です。

肩峰下滑液包炎と同じく、痛みはありますが、腕はひと通りに動きます。

これも五十肩の前段階の1つだと考えられます。

腱板断裂(けんばんだんれつ)

腱板は体の中で最も老化の早い組織の1つなので、重いものを持ち上げる、荷物を上に上げる、上にあるものをとるなどの動作をすると、突然切れることがあります。

特に、棘上筋の腱板断裂が多く見られ、50歳代から増えていき60歳代でピークを迎えます。

激しい痛みを感じ、突然腕が上がらなくなるのは五十肩と同じですが、違うのは、自分では腕を十分に上げられなくても、他人が手を貸せば動くことです。

肩峰下インピンジメント症候群

インピンジメントとは英語で「ぶつかること」「衝突」という意味です。

簡単にいうと、腕を上げるときに腱板が肩峰にぶつかることから起こるさまざまな症状の総称です。

1例として、年をとると、棘上筋の上にある肩峰の突起部分に「骨棘(こつきょく)」という、トゲのようなものができることがあります。

腕を上げると、腱板がこの骨棘にぶつかるため、腱板に炎症が起こったり、腱板が擦り切れて断裂を起こしやすくなります。

そういう意味では「肩峰下滑液包炎」「腱板断裂」もインピンジメント症候群の1つのステージであると考えられます。

上腕二頭筋長頭腱炎(じょうわんにとうきんちょうとうけんえん)

上腕二等筋の腱の1つである長頭腱に炎症が起こる病気です。

ここは炎症を起こしやすい部位なので、ひところは、これが五十肩のすべての原因だと言われたこともありました。

しかし、運動制限は起こらないので、今は、五十肩の始まりの1つの様相であると考えられています。

石灰化腱炎(せっかいかけんえん)

レントゲン写真を見ると、その部分だけが真っ白に写っていて、驚きました。先生の説明では、「凍結肩」といって急激に痛くなり、少し動かすだけでも激痛が走るとの事。白くなっている部分は、「石灰化している」という事でした。
(かたつむりママさん / 女性 / 37歳)

腱板に石灰化(血液中のカルシウムが結晶となって沈着すること)が起きるために、突然、激烈な痛みを生じる病気です。

腱が破れて、周囲にもれ出たカルシウムの結晶が急性の炎症を起こすためと考えられています。

これも年をとるとともに起きやすくなります。

五十肩のように肩や腕の動きが悪くなるわけではありませんが、あまりの痛さのために腕を動かすことができません。

五十肩とよく間違えられますが、エックス線写真を見れば、石灰化が起きているかどうかが一目で鑑別できます。

肩変形性関節症

肩関節自体の軟骨がすり減って変形と炎症を起こす病気です。

荷重関節である膝にはよくある症状ですが、肩は荷重関節でないので、あまり多くありません。

肩鎖関節変形性関節症(けんさかんせつへんけいせいかんせつしょう)

肩鎖関節が変形して炎症と痛みを起こすことがあります。

ゴルフで傷める傾向があり、ゴルファーに多い病気です。

肩関節炎

細菌が入って肩関節に炎症が起こることがあります。

リウマチ

リウマチの関節痛は肩に限りませんが、患者の方によっては肩の痛みを訴えることもあります。

肩手症候群

肩が痛いだけでなく、手も腫れて痛むという病気です。

肩を打撲したあとに手が腫れて、五十肩に似た運動障害が起こる患者の方がいます。

交感神経の調子が狂って血行異常を起こすことことが原因です。

骨折・脱臼などの外傷

外傷によって起こる肩の痛みも多くあります。

それが引き金となって五十肩に似た状態になることはよくあります。

頚椎の病気

頚部脊椎症などの頚椎の病気により、知覚神経が刺激され、首だけでなく肩にも痛みを感じることがあります。

これは部位としてはかなり遠いのですが、非常によく五十肩と間違えられる病気です。

首を斜めに後方にそらしたり横に曲げたりすると痛み、さらに、腕がまったく問題なく動かせるので、五十肩とは鑑別できます。

肺の腫瘍

肺の腫瘍が原因で肩が痛いというケースがときどきあります。

心筋梗塞

心筋梗塞で胸痛のほかに肩が痛いというケースもあります。

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